医療事務職は年齢に関わらず活躍できる職場として、女性に人気の仕事です。
職場が病院という安心感、全国的に安定した求人量も魅力。
ハローワークでも育児中の女性や、旦那さんの異動で引っ越しの多い女性にも働きやすい職業として積極的に勧められます。
そんな医療事務職への就職の助けとなってくれるのが医療事務の資格です。
初めての医療事務就職の助けになるのはもちろん、転職や育児後の再就職を見据えた長期的なメリットも大きいです。
職場や資格によっては手当て(資格給)が出るケースもあります。
このページでははじめて医療事務に触れる方に向けて、就職が有利になる人気の医療事務資格をご紹介します。
もくじ
はじめに
医療事務の資格と言ってますが、『医療事務資格』という名前の資格がある訳ではありません。
医療事務に必要な知識に関するたくさんの資格があり、医療事務資格はその総称です。
医療事務資格はすべて民間資格
医療事務には30種類を超える資格がありますが、国家資格や免許などはなく、その全てが民間資格です。
民間資格
団体や企業が実施している試験によって認定される資格。
病院の受付業務に関する知識やマナーに関するもの、医療事務でよく使われるパソコンソフトを活用できることを証明するもの、実技によって診療報酬請求事務のスキルを評価するものなど、様々な資格があります。
就職・転職に活かせる資格選び
豊富な資格の中から、自分の身につけたいスキルや得意分野を選べるのが医療事務資格の特徴です。
自由度が高い反面、資格ごとの知名度や求人での評価はまちまち。
「せっかく時間を費やしたのに就活で評価されない…」なんてことにならないためにも、資格選びはしっかりしておきたいところです。
診療報酬請求事務の資格をとろう
数ある医療事務資格の中でも、「診療報酬請求事務(レセプト作成)」に関係する資格は就活時に高く評価されます。
診療報酬請求事務とは、医療にかかった費用を算定するための会計方式のことです。
一般的な会計事務とは違った独特な法則があり、医療事務の基本でありながら専門性の高い科目となっています。
診療報酬請求事務の基本が身についていればあらゆる医療関係の職場で活躍できますし、関連の資格を持っていれば就活時には即戦力であるアピールになります。
医療事務の就職を有利にしたいというのであれば、診療報酬請求事務に関係した資格をとりましょう。
ここからは就活に有利になる資格として、診療報酬請求事務に関係する4つの資格をご紹介します。
どれも知名度あり実用性も高いので、この中から選べば間違いありません。
通信講座で資格取得を目指す方も多いため、資格ごとに対応している通信講座も記載しました。
講座の期間は、独学で目指す場合の難易度の目安としても参考になります。
医療事務の主な資格一覧
30種類を超える医療事務資格の中で、診療報酬請求事務に関係した評価の高い資格は4つです。
医療事務の人気資格
- 医療事務認定実務者
- 医療事務技能審査試験
- 医療事務管理士
- 診療報酬請求事務能力認定試験
どれかひとつでも持っていれば、医療関係の就職や転職で有利になります。
難易度の単純な比較はできませんが、目安としては下にいくほど難しくなっています。
医療事務認定実務者®
2016年に新設された、全国医療福祉教育協会が実施している資格試験です。
患者接遇・マナーに関する知識などの受付業務に必要な知識に重点がおかれ、診療報酬請求事務の問題は他の3資格と比べると易しめになっています。
試験は全てマークシート形式となっていることもあり、初めて医療事務に触れる方向けの資格と言えるでしょう。
試験は毎月実施されていて、学校などの団体で受ける場合を除き、基本的に在宅受験となります。
自宅で試験問題を解き、返送して採点してもらう形になります。
この資格に対応している通信講座はユーキャンで、講座期間は4ヶ月となっています。
受験資格 | なし |
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試験日程 | 年12回(毎月) |
試験会場 | 自宅 |
受験料 | 5,000円 |
合格率 | 60~80% |
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)
一般財団法人 日本医療教育財団が実施している認定試験で、合格すればメディカルクラークの称号が付与されます。
試験会場は指定された各都道府県の公共施設で、毎月実施されています。
40年以上の歴史ある資格で、医療事務業界で最もポピュラーかつスタンダードな資格と言えるでしょう。
受付業務に必要な患者接遇に関する知識などを問う択一式の学科試験と、診療報酬請求事務(レセプト作成・点検)の実技試験からなります。
この資格に対応している通信講座はニチイで、講座期間は6ヶ月となっています。
(通学のあるコースではもう少し短期間での取得も可能です)
受験資格 | なし |
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試験日程 | 年12回(毎月) |
試験会場 | 各都道府県内の公共施設等 |
受験料 | 7,500円 |
合格率 | 60~70% |
参考医療事務技能審査試験(メディカルクラーク®)|日本医療教育財団
医療事務管理士
技能認定振興協会(JSMA)が実施している認定試験です。
ハローワークなどで実施されている職業訓練では、この資格を目標としていることが多いです。
学科試験では医療保険制度や医学に関する知識など、専門性の高い問題が出題されます。
実技試験のレセプト作成・点検でも複雑な問題が出題される傾向にあり、上記2つの資格より難易度が高めになっています。
試験は2ヶ月ごとの実施となっていて、合格率はおよそ50%です。
この資格に対応している通信講座はソラストで、講座期間は5ヶ月となっています。
受験資格 | なし |
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試験日程 | 年6回(奇数月) |
試験会場 | 各都道府県内の公共施設等 |
受験料 | 7,500円 |
合格率 | 約50% |
診療報酬請求事務能力認定試験
公益財団法人 日本医療保険事務協会が実施している認定試験で、医療事務資格の中では最難関かつ最高峰と言われています。
この資格を持っている人に対して手当て(いわゆる資格給)を出している病院もあります。
医療事務経験者がキャリアアップや転職のために取得する資格といった感じですが、大きな病院への就職のために1からこの資格を目指す方もいらっしゃいます。
実技試験・学科試験共に複雑で専門性の高い問題が出題されます。
試験は年2回のみ。(7月・12月)
リベンジ受験が多いにも関わらず、合格率は30%程度となっています。
この資格に対応している通信講座はヒューマンアカデミーで、講座期間は9ヶ月となっています。
受験資格 | なし |
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試験日程 | 年2回(7月・12月) |
試験会場 | 主要都市の公共施設 |
受験料 | 7,500円 |
合格率 | 30% |
医療事務資格 比較表
4つの資格の要点を比較できる簡易表を作りました。
資格比較 | 医療事務認定実務者 | 医療事務技能審査試験 | 医療事務管理士 | 診療報酬請求事務 能力認定試験 |
実施機関 | 全国医療福祉教育協会 | 日本医療教育財団 | 技能認定振興協会 | 日本医療保険事務協会 |
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試験日 | 年12回 (毎月) |
年12回 (毎月) |
年6回 (奇数月) |
年2回 (7月、12月) |
受験料 | 5,000円 | 7,500円 | 7,500円 | 7,500円 |
合格率 | 60~80% | 60~70% | 約50% | 約30% |
試験会場 | 自宅 | 各都道府県の 公共施設 |
各都道府県の 公共施設 |
主要都市の 公共施設 |
通信講座 | ユーキャン | ニチイ | ソラスト | ヒューマンアカデミー |
講座期間 | 4ヶ月 | ~6ヶ月 | 5ヶ月 | 9ヶ月 |
難易度 |
医療事務資格の特徴
上記4つの資格すべてに言えることですが、医療事務の資格試験では、必要な知識をすべて暗記して問題を解くというわけではありません。
試験ではノートや参考書などの持ち込みが認められていて、それらの資料をうまく活用して素早く正確に問題を解くというのが医療事務資格の共通の特徴です。
英語で言えば、授業でとったノートや和英辞典を持ち込めるので、単語をすべて覚えなくても問題が解けるという感じです。
どの資格をとるべき?
まだ医療事務に触れたことのない方にしたら、診療報酬請求事務とか専門性が高いとか言われてもよく分かりませんよね。
資格の勉強に費やせる時間や、資格の取得までにどれぐらいの期間を想定しているかで考えるのがいいでしょう。
自分に合った資格の選び方
・とにかく早めに資格をとりたい(転職したい)
・あまり勉強が得意ではなく、難易度の高い資格は不安
資格の勉強にそれほど時間がとれないあなたには、最初に紹介した医療事務認定実務者がおすすめ。このページで紹介している資格の中では一番難易度が低いので、はじめて医療事務に触れるという方でも合格しやすいです。
とはいえ、診療報酬請求事務の基本はしっかりと身につける必要があります。
ちなみに市販で買える医療事務の教材は分かりやすいものが少ないです。
独学にこだわった結果、基本で躓いて時間がかかったり挫折してしまうぐらいなら、素直に通信講座などを利用するのがいいでしょう。
この資格に対応している通信講座は最大手のユーキャンなので安心感もあります。
・主婦業や仕事をしながら先を見据えた資格をとりたい
・引っ越しが多いなどの理由で転職が多い
先を見据えた資格をとりたいと考えているあなたは、医療事務資格のスタンダードと言われている医療事務技能審査試験がおすすめです。
また、歴史の長い資格なので知名度も高く、全国どこでも安定した評価が受けられるこの資格は引っ越しや転職が多い方にも最適です。
この資格に対応しているニチイの通信講座は、通信のみのコースから実際に講義を受ける通学を絡めたコースも用意されているので、自分に合った勉強スタイルが選べるのもメリットのひとつです。
・専門的なスキルをしっかり身につけ、選ばれる側ではなく選ぶ側になりたい
・育児が一段落したときの就職を見据えて資格の取得を考えている
資格の取得を急いでいない、または専門的な知識をしっかり身につけたいと考えているあなたは、診療報酬請求事務能力認定試験を目指しましょう。
医療事務資格の最高峰と言われるだけあって難易度は高いですが、就職に有利になることはもちろん資格給が貰えるところもあります。
この資格に対応しているヒューマンアカデミーの講座は通信コースと通学コースがあり、それぞれに他の関連資格の同時取得を目指すコースなど講座の種類が充実しているので、自分の将来を見据えた学び方ができるのも魅力です。
通信講座を主体にして選ぶ選び方も
資格のための勉強に通信講座を考えている場合は、自分に合った通信講座を選び、対応した資格を目指すという選び方もアリです。
通信講座ごとに対応している資格が違うという、医療事務ならではの選び方ですね。